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ALC外壁とコンクリート外壁の「違い」は?特徴・費用・耐久性を解説

2025.11.01

ALC外壁とコンクリート外壁は、どちらも建物の外壁に使われる建材ですが、見た目は似ていても、その特性は大きく異なります。この記事では、混同されやすいALCとコンクリートの「違い」に焦点を当て、素材の構成や製造方法から、断熱性や遮音性といった性能、費用やメンテナンスコスト、耐久性までを解説していきます。

ALC外壁とコンクリート外壁、混同されやすい2つの建材

建物の外壁を検討する際、「ALC外壁」と「コンクリート外壁」という言葉を耳にすることがあるかもしれません。どちらも「コンクリート」という言葉が含まれるため、同じようなものだと感じたり、混同してしまったりすることがあります。しかし、これらは見た目が似ていても、その素材の構成、製造方法、そして外壁としての特性や役割には大きな違いがあります。

ALCとは?軽量気泡コンクリートの基礎知識

ALCは「Autoclaved Lightweight aerated Concrete」の略で、日本語では「軽量気泡コンクリート」と呼ばれています。その名の通り、軽くてたくさんの気泡を含んだコンクリートです。

主な材料は、セメント、石灰、珪石といった天然素材を主成分とし、これに発泡剤を加えて高温高圧の蒸気で養生して作られます。この製造工程で素材の中に均一な気泡を発生させるため、通常のコンクリートよりもはるかに軽量になります。この軽さが、建物の構造への負担を減らし、施工のしやすさにもつながります。

ALCは、その特性から主に建物の外壁材や間仕切り壁として広く利用されています。

コンクリート外壁とは?構造材としての役割

私たちが一般的に「コンクリート」と呼ぶものは、セメントと水、そして砂や砂利といった骨材を混ぜ合わせて作られる建材です。混ぜ合わせた材料が化学反応を起こし、時間が経つにつれて固まり、非常に高い圧縮強度を持つようになります。

コンクリートは、その頑丈さと耐久性から、建物の土台となる基礎や、柱、梁、床といった構造躯体(建物の骨組み)として欠かせない役割を担っています。特に、鉄筋と組み合わせた「鉄筋コンクリート」は、引っ張る力にも強くなり、高層ビルや橋など、大規模な構造物にも利用されています。

外壁として利用される場合も、その高い構造強度と耐火性が大きな特徴となります。

ALCとコンクリートの基本的な違いをまとめると、次のようになります。

項目 ALC(軽量気泡コンクリート) コンクリート
正式名称 軽量気泡コンクリート コンクリート(セメントコンクリート)
主成分 セメント、石灰、珪石、発泡剤など セメント、水、砂、砂利(骨材)
特徴 軽量、多孔質、優れた断熱性 高強度、高耐久性、重い
主な役割・用途 外壁材、間仕切り壁 建物の構造躯体、基礎、土木構造物

ALC外壁とコンクリート外壁の違い

ALC外壁とコンクリート外壁は、どちらも無機質な素材感を持ち、建物の印象を大きく左右する建材です。見た目が似ていることから混同されがちですが、その中身や作られ方、そして外壁としての特性には大きな違いがあります。

素材の構成と製造工程の違い

ALCとコンクリートは、同じ「コンクリート」という言葉が含まれていても、その素材の構成と製造プロセスは大きく異なります。この違いが、それぞれの建材が持つ独自の性能を生み出しています。

ALCは、セメント、生石灰、珪石といった無機質の原料に、発泡剤としてアルミ粉末を加えて作られます。この混合物を型枠に流し込み、気泡を発生させた後、高温高圧の蒸気で養生する「オートクレーブ養生」という特別な工程を経て完成します。この製造方法により、ALCは内部に均一な気泡を持つ、軽量で多孔質な素材となるのです。

一方、一般的なコンクリートは、セメント、水、砂、砂利(骨材)を混ぜ合わせて作られます。これらを練り混ぜ、型枠に流し込んで自然に硬化させることで、堅固な構造体となります。身近なところでは、道路や橋、建物の基礎など、さまざまな場所で活躍している素材です。

項目 ALC外壁(軽量気泡コンクリート) コンクリート外壁
主な構成材料 セメント、生石灰、珪石、アルミ粉末(発泡剤) セメント、水、砂、砂利(骨材)
製造プロセス 混合・発泡→高温高圧蒸気養生(オートクレーブ養生) 混合・流し込み→自然硬化
内部構造 均一な気泡を持つ多孔質 緻密で密実

外壁としての特性と用途の違い

素材の構成と製造プロセスの違いは、外壁としての特性や、どのような建物に使われるかという用途にも影響します。それぞれの建材が持つ魅力や得意なことを知ることで、より良い選択ができるようになります。

ALC外壁は、その軽量性と多孔質な構造から、優れた断熱性と遮音性を持ちます。内部の気泡が空気の層となるため、外気の温度変化が室内に伝わりにくく、快適な室内環境を保ちやすいのが特徴です。また、加工がしやすいため、デザインの自由度が高く、さまざまな形状や模様に対応できます。一般的には、表面に塗装を施して仕上げます。戸建て住宅から中高層ビルまで、幅広い建物の外壁として採用されています。

コンクリート外壁は、その重厚な見た目と高い構造強度が魅力です。非常に頑丈で、建物の骨格を支える構造材としての役割も果たします。耐火性や耐久性にも優れており、長期間にわたって建物を守ります。打ちっぱなし仕上げにすることで、コンクリート本来の素材感を活かしたモダンなデザインも楽しめます。主にマンションや商業施設、一部のモダンなデザインの戸建て住宅などで見かけることが多いです。

項目 ALC外壁 コンクリート外壁
主な特性 軽量、断熱性、遮音性、加工しやすい 重厚、高強度、耐火性、耐久性
一般的な仕上げ 塗装仕上げ 塗装仕上げ、打ちっぱなし仕上げなど
主な用途 戸建て住宅、中高層ビル、工場など マンション、商業施設、モダンな戸建て住宅など
デザイン性 加工しやすく多様なデザインに対応 素材感を活かしたデザイン、重厚感

性能比較 断熱性 遮音性 耐火性 強度

ALC外壁の優れた断熱性と遮音性

ALC(軽量気泡コンクリート)は、その名の通り内部に多くの気泡を含んでいます。この気泡が、外壁に優れた断熱性と遮音性をもたらします。

断熱性については、気泡が空気の層を作り出すため、熱の伝わりを抑える働きがあります。これにより、夏は外の暑さを室内に伝えにくく、冬は室内の暖かさを逃がしにくくします。冷暖房の効率が良くなることで、快適な室内環境づくりに役立ちます。

遮音性もALCの大きな特徴です。音は空気の振動で伝わりますが、ALCの内部にある無数の気泡が音の振動を吸収・分散させます。外部からの騒音を軽減し、室内からの音漏れも抑えるため、静かな暮らしを求める方に選ばれています。

コンクリート外壁の耐火性と構造強度

コンクリート外壁は、その重厚な見た目だけでなく、高い耐火性と構造強度を兼ね備えています。特に、鉄筋コンクリート(RC造)として使用される場合、その強みがいかされます。

耐火性に関して、コンクリートは不燃材料であり、火災に強いという特性があります。火災が発生しても、燃え広がりにくく、建物の構造体を守る役割を果たします。これにより、火災時の安全性が高まります。

構造強度もコンクリート外壁の重要な点です。圧縮に非常に強く、鉄筋と組み合わせることで、地震や台風などの外部からの力にも耐える強固な構造を作り出します。これにより、建物の耐久性や安全性が高まります。

性能比較表

性能項目 ALC外壁 コンクリート外壁
断熱性 内部の気泡層により高い断熱性を持ちます。熱伝導率が低いのが特徴です。 熱容量は大きいですが、単体での断熱性はALCに劣ります。別途断熱材が必要な場合があります。
遮音性 多孔質な構造が音を吸収・分散し、優れた遮音性を発揮します。 質量が大きいため音を遮る効果はありますが、ALCのような吸音性はありません。
耐火性 無機質素材で不燃性です。高い耐火性能を持ちます。 不燃材料であり、非常に高い耐火性能を持ちます。
強度 軽量ながらも一定の強度を持ちますが、コンクリートに比べると衝撃に弱い面もあります。 圧縮強度が高く、鉄筋と組み合わせることで非常に高い構造強度を発揮します。

費用比較 初期費用とメンテナンスコストの差

ALC外壁とコンクリート外壁を選ぶ際、建物を建てるための初期費用だけでなく、建ててからのメンテナンスにかかる費用も大切なポイントになります。それぞれの外壁材が持つコストの特徴を見ていきましょう。

ALC外壁の建築コストと塗装周期

ALC外壁は、工場で生産されたパネルを現場で組み立てる工法が一般的です。このため、現場での作業時間が短縮され、人件費の削減につながり、初期費用を抑えやすい場合があります。

しかし、ALCは素地のままでは水が浸透しやすいため、表面に塗装を施すことが必須です。この塗装は、外観を美しく保つだけでなく、ALCパネルを保護する大切な役割があります。塗装は時間の経過とともに劣化するため、定期的な塗り替えが必要です。

一般的な塗装周期は10年から15年ほどで、塗料の種類によっても変わります。ウレタン塗料なら10年程度、シリコン塗料なら10〜15年、フッ素塗料なら15年以上の耐久性を持つものもあります。塗り替えの際には、足場の設置費用やパネル間の目地に使われるシーリング材の打ち替え費用も発生します。

塗り替えの費用は、使用する塗料の種類や建物の大きさ、足場の設置条件などによって大きく異なりますが、数十万円から百万円を超えることもあります。長期的に見ると、このメンテナンス費用を計画に入れておくことが大切です。

コンクリート外壁のコストと長期的な視点

コンクリート外壁、特に現場でコンクリートを流し込む打放し仕上げの場合、型枠の設置やコンクリートの打設、固まるまでの養生期間が必要となるため、ALC外壁と比較して初期費用が高くなる傾向があります。型枠の形状が複雑になるほど、費用はさらに上がります。

一方で、コンクリート打放し仕上げの場合、塗装のような定期的な塗り替えは基本的に不要とされることが多いです。しかし、コンクリートも経年により劣化します。特にひび割れ(クラック)が発生すると、そこから雨水が浸入し、内部の鉄筋が錆びる原因になることがあります。

そのため、コンクリート外壁も全くメンテナンスが不要というわけではありません。ひび割れの補修や、表面の防水・撥水処理を施すことで、美観を保ちながら耐久性を高めることができます。これらのメンテナンスは、ALC外壁の塗装周期ほど頻繁ではありませんが、必要に応じて実施することで、建物を長く守ることにつながります。

長期的な視点で見ると、コンクリート外壁は初期費用が高いものの、メンテナンスの頻度がALC外壁よりも少ないため、総費用で比較した際に、どちらがお得かは建物の条件やメンテナンス計画によって変わります。

ALC外壁とコンクリート外壁の費用とメンテナンスについて、次の表にまとめました。

項目 ALC外壁 コンクリート外壁
初期費用 パネル工法で抑えやすい場合がある 型枠・打設・養生で高くなる傾向がある
主なメンテナンス 定期的な塗装(10~15年目安)、シーリング打ち替え ひび割れ補修、防水・撥水処理(必要に応じて)
メンテナンス頻度 比較的頻繁 ALCより少ない
長期的な総費用 初期費用は抑えつつ、定期的なメンテナンス費用を計画 初期費用は高めだが、メンテナンス頻度が少ない

耐久性比較 長期的な寿命とメンテナンス

外壁材を選ぶとき、長く安心してお住まいになるために、その耐久性とメンテナンスはとても気になる点です。ALC外壁とコンクリート外壁、それぞれの寿命や、いつ頃どんなお手入れが必要になるのか、詳しく見ていきましょう。

ALC外壁の耐用年数と補修のポイント

ALCパネルそのものの耐用年数は、環境にもよりますが、50年から60年とも言われています。しかし、ALCは吸水性が高いため、表面の塗膜による防水機能が非常に大切です。この塗膜が劣化すると、ALCパネルが水を吸い込みやすくなり、性能の低下や劣化を早めることにつながります。

そのため、ALC外壁の耐久性を保つ上で最も重要なのが、定期的な塗装とシーリングのメンテナンスです。一般的に、塗装は10年から15年、シーリングは7年から15年を目安に、打ち替えや増し打ちといった補修が必要になります。塗膜にひび割れや剥がれが見られたり、シーリングが硬くなったり、剥がれてきたりしたら、早めに専門家へ相談することが、ALC外壁を長持ちさせる秘訣です。

コンクリート外壁の耐久性と劣化対策

コンクリート外壁は、構造材としての役割も担うため、非常に高い耐久性を持っています。鉄筋コンクリート造の場合、その構造躯体の寿命は60年以上、適切なメンテナンスを行えば100年を超えることもあります。しかし、コンクリートも無機質な素材ですが、時間の経過とともに劣化は避けられません。

コンクリート外壁の主な劣化症状としては、表面のひび割れ(クラック)や中性化、そして内部の鉄筋が錆びて膨張することでコンクリートが剥がれ落ちる「爆裂」などがあります。これらの劣化を防ぎ、耐久性を維持するためには、定期的な点検と適切な対策が大切です。

具体的には、小さなひび割れは補修材で埋め、大きなひび割れは構造的な問題がないか確認し、適切な補修を行います。また、コンクリートの表面に塗装や撥水剤を塗布することで、雨水の侵入を防ぎ、中性化の進行を遅らせることができます。これらのメンテナンスは、一般的に10年から15年周期で行われることが多いです。

ALC外壁とコンクリート外壁の耐久性・メンテナンス比較

ALC外壁とコンクリート外壁の耐久性やメンテナンスについて、ポイントをまとめてみました。

項目 ALC外壁 コンクリート外壁
本体の耐用年数 50年~60年程度(パネル自体) 60年以上(構造体として)
主な劣化症状 塗膜のひび割れ・剥がれ、チョーキング、シーリングの劣化 ひび割れ(クラック)、中性化、鉄筋の爆裂
重要なメンテナンス 定期的な塗装、シーリングの打ち替え ひび割れ補修、表面保護(塗装、撥水処理)
メンテナンス周期の目安 塗装:10年~15年、シーリング:7年~15年 塗装:10年~15年、ひび割れ補修:都度

まとめ

ALC外壁とコンクリート外壁は、どちらも建物に使われる大切な素材ですが、見た目は似ていても、その成り立ちから外壁としての働き、かかる費用や長持ちさせるための方法まで、たくさんの違いがあります。

ALC外壁は、その軽さのおかげで建物への負担が少なく、断熱性や音を遮る性能に優れています。快適な室内環境をつくるのに向いていますが、表面の塗装やシーリング材の定期的なお手入れが、美しい状態を長く保つための大切な鍵になります。

一方、コンクリート外壁は、頑丈で火に強いことが大きな魅力です。デザインの自由度も高く、おしゃれな外観を求める方にも選ばれています。しかし、重さがあるため建物の構造をしっかり考えることや、断熱性、そして費用の面で計画段階からじっくり検討することが大切です。

どちらの素材が良いかは、建てたい建物の目的や、どんな暮らしをしたいか、そして予算によって変わってきます。迷った時には、ぜひ専門家の方に相談して、納得のいく選択をしてください。

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